2021年1月30日 #stationery

モノを選ぶときは常に自分のニーズや課題、今の生活ルーチンの中でのユースケースを想像しながら、できる限りこちらの条件を明確にするのが大事。すべてを網羅するデザインは存在しない。自分の要求をはっきりすればするほど、該当対象は絞られるけど、それにきちんと応えてくれるモノに出会えれば、それは長らく愛用する人生の友になる。その探し求める過程はなかなかの醍醐味である。

さてさて、ペンケースの話をしよう。

僕がペンケースに求めているものは何か、まずはそれをリストアップする。

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  • 使うシーン(コロナ前):主に自宅、オフィス、カフェなどで読書するシチュエーションを想定
  • 入れるもの:四色ペンと定規、付箋、シャープペンと消しゴム、ハイライターなど読書時の常備品

筆記類の利用頻度からさらに「クイックアクセス」と「その他」に分けられる。例えば四色ペンと定規はすぐに取り出せる体制にしたい。この二つさえあれば、気になる箇所に線を引ける。定規については前回の記事で紹介したKUTSUWAの16cmブラック定規を使っている。

こうなると外ポケットか、あるいはファスナー付きのサイドポケットあたりが理想。
二つ以上のポケットがあればで小分けに収納ができて、ペン同士の摩擦も抑えられ、傷つきにくくなる。

形とサイズに関してはそこまでこだわりはないが、どっちかといえば、ドカンと鎮座する巨漢よりかはスマートスリムフィットが望ましい。

(こうやってペンケースにおいての条件を書き出してみたら、なぜか部屋探しのときのことを思い出す。)

試行錯誤の末、ようやく二年前にデルフォニックスのコンター(5ポケット)に出会えた。

デルフォニックスコンター5ポケットペンケース

さらっとした質感も心地よい。ファスナー付きのポケットには「クイックアクセス」類を入れて、必要なときにすぐ取り出せる。紐の白のドットはアクセントになっていて気に入った。

中身はこんな感じ。三つ折りでかなりコンパクトで、なおかつ収納力が高い。

デルフォニックスコンター5ポケットペンケース・中身

普段はこういうふうに使っている。

IMG_2935

左のポケットにはハイライターとFRIXIONの替芯を。FRIXIONの四色ペンで本に線を引いている。インク切れのときのもどかしさといったら。。。本末転倒になるけど、「線が引けないんだったら本は読まない!」のような状況に陥ったことも多々あったので、何があっても替芯は常備しとく。

真ん中のポケットにはノートを。僕はもともとフィールドノートはあまり使わず、スマホに書けばいいやと思っていたのだが、やっぱりそれだと読み返さない。そのきっかけがないし、パラパラ読みには紙に劣っている。前に買ったMnemosyne N193Aノートがちょうど入るので、デルフォニックスのペンケースを使うことで、ノートの新しい使い道が開拓された。紙に書いたものは結果的に再開発されることがけっこう多かったりする。

右側の二つの浅いポケットは小物を収納するのにぴったりなので、付箋と消しゴムを入れている。

以上が自分のユースケース。

だいぶ使い慣れていて、僕の中ではけっこう納得のいく逸品で、ある種の終焉を感じさせるくらい完結している。こいつが完璧というよりかは自分のニーズにジャストフィットしている。

気になるところと言えば、音ですね。内側は面ファスナーで開け締めしているけど、あれを開けるときの音。日中はまったく気にしない程度。でも夜になると、あるいは閑静な場所なら、周りの人に迷惑かけてないかと気になってしまう。自分は心配性な人間だから過剰に反応しているだけかもしれないけど。

また、収納力はかなり高いけど、パンパンに入れると折りたたむときに形が崩れる。トースターで焼かれた餅みたいに膨らむ。腹八分目、ここにも適用可能。


デルフォニックスの同シリーズでコンター・ラウンドというのもある。こちらも当初店舗で触ってみて検討していたけれど、なにが不満でスルーしたのが、今となってはまったく思い出せない(笑)。表のポケットは確かに便利そうで、ファスナーなしでさらにアクセスが抜群。中身を囲むファスナーがちょっと不便だったのかな。5ポケットのバージョンは「一発でパカッ」と開けるのを対し、このラウンドは「北半球にぐるり、南半球にぐるり」といった具合で二、三テンポ遅い気がする。

kontur-round


『捨てる贅沢』という本でこんな一節があった。「モノに愛着を示す最良の方法はそれを使うこと」。
今日もデルフォニックスのペンケースを使い、さらにそれをブログのネタにもした。十分な愛情表現だろう。

2021年1月 4日 #stationery

いくつか愛用の文房具を紹介します。まずは定規から。

僕は本を読むときに気になる箇所に、定規で線を引いている。素手で引くときのグニャグニャとする線はどうしても生理的に受け付けない。どういうふうに線を引くかは、『三色ボールペンで読む日本語』に強く影響され、ご興味がある方はぜひ一読してみてください。

なので、僕が定規に求めているのは読書時に線を引くための機能であり、長さを測るという使い方はほとんどしていない。その目線から、試行錯誤の末、今はこのKUTSUWAの16cmブラック定規にたどり着いた。

KUTSUWAの16cmブラック定規

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長さ

16cmは正直少々長い。これ以上長くなるとペンケースに収まらない、あるいは収まりづらい問題が発生する。

線を引く上では、最低限の長さは以下の通り(標準サイズの場合):

  • 縦書きの単行本の場合は13.5cm
  • 縦書きの文庫本の場合は12.5cm
  • 横書きの和書、洋書の場合は11cm

縦書き文庫本、単行本に定規で線を引く場合

横書き和書、洋書に定規で線を引く場合

なので15cmあればだいたいは物足りる。

程よい存在感

こんな悩みありません?デスクに本とペンと定規と付箋などを取り出して読書に取りかかる。ふと線を引きたいときに、定規がどこに置いてあるかぱっと見つからない問題。この一秒二秒くらい探す手間がリズムを崩し、フラストレーションに感じるしまう自分。(こんな細かいことを気にするのは、果たして日本中に僕以外どれくらいいるのか、見当もつかないのだが、、、)

この問題を解決するには、定規に程よい存在感を出してほしい。つまりビジュアルコントラストの度合いが高いほうを選ぶ。

今使っているKUTSUWAの定規は透明・黒が合間になっていて、明るい色合い、あるいはダークのデスクに置いても、周囲とのコントラストが強いため、すぐに見つかることができる。よくある透明度が高い定規は周囲にあまりにも溶け込むため、僕は不採用としている。

比較するために透明度の高い定規と一緒に並んで見る。まずは明るいダイニングテーブルに。

IMG_1116

次は僕の仕事デスクに。

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いかがでしょう。透明度の高い定規より、KUTSUWAの定規のほうがぱっと目に入るし、かといって目立たすぎず、脇役をきちんと演じているところが高評価。

(まあ定規を定位置におけば済む話かもしれないですけどね。。)

次の行を覗き見

透明の方を上に向く場合、ちょうど一行ほどの高さが透明になっているので、次の行の文字が見える!これで線をどこで区切るかがより判断しやすくなるし、線を引くときの力加減もコントロールしやすくなる。

最初はただの便利機能かと思いきや、今はこれがないといささか心細い。

次の行を覗き見

その他

他にも便利機能が盛り込んでいる。

  • 裏面に滑り止め加工が施され、線をまっすぐに引きやすい
  • 角に丸みがあり、手やペンケースに優しい
  • 物の高さや深さを測りやすい端スタートメモリ

お値段

180円、破格です。感動しかない。こんなにユーザー目線で作られたモノが200円もかからないと考えると、日本最高だと思ってしまう。


こんなクセのあるこだわりは、果たして誰かにわかってくれるのか。
次回は愛用するペンケースを紹介します。お楽しみに。